「対話」から本質を見定める
「聴く」ことに神経を集中する
Q:
ここで一つ疑問が生まれました。
笹川さんにとっての「質問をする」という行為は、どういうものなのでしょうか?
もし、気をつけている事柄があれば、どんなことがありますか?
笹川さん:
少しだけ時計の針を過去へ戻すと・・・
私の場合は、社会に入ってから、自己主張する必要性も、はたまたそういうことを発揮する環境もなかった。
そこへ、多くの人々のご相談・陳情を受ける御役目が・・・まだ若造な私に・・・私の意図に関係なく、自然の流れで決まっていく・・・
この特殊な環境が、人の話を「聞く」という一つの感性が開花していくベースとなっていく・・・
同時に、家業の社長就任する直前の29歳頃だったと記憶しているが、ある財界人の大御所から言われたことがある・・・
『笹川君・・・貴方は経営者で頑張るよりも、プレイヤーである経営者を導いていくような立場の方が、類まれなる良き力を存分に発揮できるのではありませんか・・・』
その時は、もちろん大事なことを言われているという認識はあったけれど・・・まさか後々そういう未知へ進むとは想像もしてなかった・・・
そこから年月を重ねるごとに、ある事に気付き始める・・・
「いつからか、数えられぬ膨大の人々の話を聞く行為を続けているうちに、その分野の専門家でもない自分が、本質を見定められるようになっているのは、なぜだろうか?」と・・・
そして、「会話」、「聞く」ではなく、
「対話」、「聴く」という行為に、
大切な意義があることに目覚めるまでには、さほど時間は必要としなかった・・・
次第に、そこから 特技?能力?感性?
動物的感覚が磨かれていったのではないかと・・・
その後、
図らずも天職とも言うべきエグゼクティブ・コーチという、まだ日本に存在していない「パイオニア」のようなポジションへ、クライアントになってくださった先輩経営者が、御引き合立てて頂いた・・・
したがって、
正しい問いかけ・・・
適切な質問・・・
私にとっては、ごく普通なことですがね・・・
もし、対話をするうえで気をつけている点があるとすれば・・・
昔から「この大物経営者と奇跡が起こらない限り、二度と会えない」という意識的習慣が確立されており、無意識のうちに全神経を集中させる癖がついているので・・・
クライアントである経営者のタイプにより、その対話スタイルを、若干調整しながら進めるということくらいかな・・・